「ごめんなさい」と「ありがとう」
先日仕事帰りの地下鉄の中、何やら怒気を含んだ声に気がつきました。
ちょうど私が座っていた席の前が専用席になっていて、声はそこに座っていた年配の男性のものだとわかりました。
「そこで見るな!」
専用席近くで(正確に言うと、専用席前からわずかにずれた車両の連結部分)スマホを見ている若い男性に向けての言葉でした。
声はそれほど大きいわけではないですが、私以外の何人かは気がつきました。
しかし若い男性は、自分に向けられている言葉だとは思ってもいないのか、はたまたスマホに集中しているせいか全く気がついていませんでした。
とうとう年配の男性は立ち上がり、スマホに夢中の彼のそばまで行くと、
「そこで見るなと言ってるだろう!」
さすがに気がつき驚いた男性は、自分がどうやら専用席の近くにいたことすら今初めて知ったというように、慌てて頭を下げました。
「すみません、ごめんなさい」
そしてすぐさま持っていたスマホを鞄にしまいました。
ハラハラしながら見守っていた私は、ほっと胸を撫で下ろしました。
年配の男性は黙って席に座りなおし、注意された方はいくらか申し訳なさそうに、同じ場所に立っていました。
そして若い男性が先に降りたのですが、降りる際に年配の男性に向けて再度頭を下げました。
「すみませんでした」
専用席の男性の表情もいくらか柔らかくなっていました。
もちろん専用席近くでのスマホの使用はマナー違反です。
人によっては命に関わることですから、万が一何かあってからでは謝って済む問題ではありません。
その時の私はただの傍観者でしたが、でも少し、本当に申し訳なさそうに「すみませんでした」と謝罪した彼を褒められはしなくても、潔いと感じました。
見ず知らずの若者を叱ることも勇気が必要だったでしょう。そして、素直に謝ることも結構勇気がいることだと思います。
「ごめんなさい」と「ありがとう」
素直な気持ちがこもった言葉にはイライラしたりトゲトゲした心を、まんまる〜くしてくれる力がありますね☺️
いつも最後まで読んでいただき、ありがとうございます😊